みどたま ブログ茶論

お茶のある日々に感謝し、自分を大切に

現代風茶室 「万 yorozu」 ~ 福岡 日本茶 そのぎ茶 和菓子 HIGASHIYA ~

こんにちは。みどたまです。

 今日は、福岡に来られる方に是非お勧めしたい、

素敵なお店を紹介しちゃいます。

福岡市赤坂にある「万 yorozu」さんです。

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 何のお店かというと、

お茶とお菓子をいただくので、サロン?茶寮?

夜はお酒も出すので、バー?茶酒房?

 お茶とお菓子をいただいて、お酒も出して、

客が一同に会し、亭主が心を込めてお茶を出す・・・

どこかで聞いたような・・・

そう、まさに「茶室」です。

 

実は、私ごときが、紹介するには恐れ多い、

店主さまの思いをきちんとご紹介するにはまだまだ勉強不足と、

これまで極々親しい人にしか話したことがないのですが、

「万 yorozu」は、感動的に素敵な、

そして純粋にお茶をいただくことを楽しめる希少なお店です。

 すでに、お茶好きオシャレさんには有名なようで、

関西、関東や海外から来られる方もいらっしゃいます

落ち着いたおしゃれなカップルが多いです。

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さて、何がお勧めかというと・・・、

お勧めポイントが満載すぎて、何から話して良いか迷うくらいですが、

まずは、やっぱり、お茶から!

 

メニューはこんな感じで、産地、品種、茶名がシンプルに書かれています。

八女、星野、嬉野など九州を中心に、厳選されたお茶がズラリ!

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珍しい野草茶やお酒もあります。

中でも私の目が釘付けになったのは、「そのぎ抹茶」

長崎県東彼杵で生産されている「そのぎ茶」のお抹茶。

初めて見ました。(不勉強で申し訳ありません。メニュー右端にあります)

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驚く私に、店主さんが、そのぎ茶は昔中国から伝わった

釜炒り製法の玉緑茶でその歴史は古いこと、

若い生産者さんが熱心に頑張っておられること、

最近の日本茶品評会などで数々の受賞をしていることなど、

優しく丁寧に、そして熱く、教えてくださりました。

 そのお味は・・・

最初の感想は、「んっ?抹茶?うん、抹茶。こんなお抹茶があったなんて!」

で、その後に「美味しい!!!」です。めちゃくちゃ美味しい。

ただ美味しいだけでなく、これまでに飲んだお抹茶と何かが違います。

製法が違う?品種が違う?土地が違う?もう、頭がフル回転です。

 

これまで飲んだお抹茶は、甘く、濃く、深く、

下に深く潜り込むような奥深さを追求しているような感じ。

この、そのぎ抹茶は、スコーンっ!と、右肩上がりに突き抜けている

軽くはないのです。しっかりとしたコクを持ちながら、潔い感じ。

スコーンっと、気持ちいい。お茶がスコーンって、分りませんよね・・・。

表現力のなさが、申し訳ない。でも、とにかく、美味しい!!!

 

そのぎ茶の特徴である、釜炒り製法のスッキリした香ばしさが

抹茶づくりにも影響しているのかしら?

でも、抹茶にするお茶は、普通は釜炒りにはしないはず。

もうこれを説明するには、皆さんにも飲んでいただくしかない!と、

販売していただけるかお尋ねしたところ、

そもそも、そのぎ茶が希少で、ほとんど流通していないので、

お客さまに販売するほどないそうです。残念。

 

そんな貴重なお茶をいただくことができて、幸せです。

東彼杵の生産者の皆様、

こんな美味しいお茶を作ってくださってありがとうございます。

そして、今日、この一服を点ててくださった店主さんに感謝です。

大変結構にちょうだいいたしました。

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ついつい、お茶のことに熱が入ってしまいましたが、

お茶の合間に出てくるお菓子も素敵です。

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選ぶだけでもワクワクします。

通常お煎茶3煎をいただく間に、お好きな和菓子一つと、

これ。

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乾燥棗に発酵バターを詰めて、クルミを乗せたもの。

これがまた美味しいです。お酒にも合います。

 

そして、このスタイリッシュなお店の雰囲気もたまりません。

お店に入るとコの字の木のカウンターと、

その中心にドーン!

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その下に、店主自らデザインした、これ

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この茶室の中心です。

茶道の釜と炉と、中国茶で湯を捨てる茶盤が一体化したようなもの。

オリジナルなので、決まった名前はないとのことですが、

私は、勝手に「お茶会スタジアム」とこっそり命名しています。

(店主さんの白衣と満席のときのお点前のテキパキとした様子が、

かの懐かしいTV番組「料理の鉄人」のキッチンスタジアムを彷彿とさせます)

 

天井には特注されたというガラスの照明と

ハワイから取り寄せられたという

年代物のJBLのスピーカー。

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流れるジャズとお香の香りと釜から登る湯気

ちょうど目線の高さにお茶を淹れるお点前が見れるように計算された

木のカウンター。もう、にくいくらいの演出です。

 

それもそのはず、茶道、煎茶道を極め、その精神と茶の演出を知り尽くした

店主の、「茶道の枠にとらわれず、伝統を大切に、お茶を楽しみたい」という思いを受けて、銀座に店舗を構える和菓店「HIGASHIYA」を手掛けたインプリシティ代表の緒方慎一郎氏がデザインされたとのこと。納得です。

 

一堂に会した客は、店主が茶器を出し、茶葉を計り、湯を汲むのを一緒に見つめ、会話を愉しみながら、座をともにします。

茶葉を拝見し、香りを味わい、温めた茶碗に茶葉を入れて蒸らし…。

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 お茶は、それぞれの茶に適した茶器で、計算された湯温、抽出時間で、客の目の前で一煎、一煎、ていねいに淹れられます。店主の計算された美しいお点前。

背筋が伸びるような緊張感と寛ぎの絶妙なバランス。なんて贅沢な時間。

 

語りつくせない「万 yorozu」の魅力は、

やっぱり体感していただくしかありません。

15時にオープンすると満席になってしまうこともあるので、

予約してでかけることをお勧めします。日曜日はお休みなので気をつけて。