お稽古のこと ~ 茶道 お稽古 日々是好日 備前焼 掛軸 ~
こんにちは、みどたまです。
先週、久しぶりに茶道のお稽古に行ってきました。
12月から仕事が忙しかったり、体調を崩したりしていたので、
今年初めてのお稽古です。
普段は大雑把な私ですが、お茶をするときは、違います。
お道具は、一つ一つ丁寧に、大切に、
止まって、座って、一呼吸。
決められたとおりの作法とお点前ですが、
それが、体に馴染んで、心地よく、自分に戻っていくようで
ああ、やっぱり好きだな~って、しみじみと思います。
不思議です。好きで始めた茶道ですが、
気持ちが向かわず、お稽古から足が遠のきそうに
なったこともありました。
途切れ途切れになりながら、約20年。
お稽古を続けていくうちに、
何かが、スッと変わった瞬間がありました。
お稽古がなんとも言えず楽しく、心地よいと感じるようになり、
先生がお稽古をしてくださることの有難さに改めて気づき、
1回1回のお稽古を愛しいと感じるように。
それと同時に、私がしたいことはこれかもしれない、
と思い始めました。
先生は、御年88歳。重い物を持ったり、袋を開けたりすることが
できなくなったのよ、と言いながら、
いつもお稽古の準備をしていてくださいます。
私が伺ってから準備します、とお伝えしても、必ずご自分で。
床には、新春に相応しい「春入千林処々鶯」の掛軸。
備前焼きの花入れに生けたあけぼの椿。
道具畳には、1月にお稽古できなかった長板と
先生が大好きな備前焼の皆具(かいぐ)。
お菓子は虎屋の羊羹とお干菓子。
お湯を沸かし、炉の灰を整え、蹲を水で満たし、露地を清め…。
(掛軸やお道具の説明などは、またの機会にさせていただきますね)
お茶は総合芸術と言われます。
お稽古の準備も、季節やテーマに沿っての総合プロデュース。
自分が人に教えること、お茶事をすることを考えるようになって、
改めて気づいたことは、
先生が毎回のお稽古のためにどれだけ気を配り、
心を込めて準備をしてくださっているかということ。
自然と頭が下がります。お稽古も一期一会。
一回一回のお稽古を大切に思わずにはいられない。
やっと。20年たって。
昨年、樹木希林さんの遺作となった映画「日々是好日」を観ました。
黒木華さんが演じる主人公が、同じように20年近くお茶を習って、
ふと何かに気づく、何かを感じる瞬間がありました。
お茶を長く続けている方は、共感するところが多くあったのではないでしょうか。
茶道経験がない方はどう感じられたのでしょう。是非、聞いてみたいです。
作中「世の中には、すぐわかるものと、すぐわからないものがある」
というセリフがあります。付け加えさせていただくなら、
「頭で考えて分かるものと、頭で考えても分からないものもある」。
お茶のお稽古をしていると、お点前の決まり事を頭で理解しようとして、
理屈が分からず、ただ覚えることに違和感・反感を覚えることがあります。
足は左から、畳は6歩で、右でとって左で受けて・・。
今なら、それが、すぐには分からないもの、頭で考えても分からないもの
を心と体で感じるためのプロローグだったと思えます。
長い長い助走期間をずっと見守ってくださった先生に
何かをお返しできることはないかもしれませんが、
同じことを誰かに、先生から私に、私から誰かに、
バトンをつないでいけたら、とても幸せだと思う今日この頃です。
今日は、ちょっと真面目なお茶の話でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。